昨日は 9・11 ・・・・・




WTC01

 9 年前のあの日、ボクはちょうど 2 週間ほどの研修中で、隣の部屋の方がテロ事件が起きたことを教えに来てくれました.
 テレビに映し出された光景は、どこか映画を見ているような感じで、現実離れした感じだったことを覚えています.

 数年後、実際あの現場で救助活動した EMT とも話したことがありますが、災害現場のことについては多くを話そうとはしませんでした.
 あの事件に携わったすべての人たちが、いろいろな傷を背負ってしまったようです.


 「暴力は、暴力以外なにも生まない」というようなことがよく言われますが、あの事件以降も、結局は "暴力には暴力" というような構図が、アメリカはもちろん、世界至る所で成り立っているようです.
 おまけに、お互いの神経を逆なでするような行動を起こす人もいます.
 思想は自由ですが、そこにモラルはなくなってしまったのでしょうか.
 こんな愚かさも、人間らしさかもしれません.
 いつまでたっても、同じ過ちの繰り返しです ・・・・・ ボクも.





 そんな愚かで弱い人間たちに、レクリエムを.






honda025






  "紀尾井ホール ピアノ・リサイタル"





  1.  Piano Sonata No.14 (Moonlight) 1 Adagio
             (BEETHOVEN) ・・・・・5:43
  2.  シリウス~アフリカの風
             (T.Honda) ・・・・・ 17:28
  3.  Amazing Little Dream
             (T.Honda) ・・・・・ 13:12
  4.  Eu Te Amo
             (T.Honda) ・・・・・ 8:17
  5.  Get Up!!
             (T.Honda) ・・・・・ 10:08
  6.  故郷~父の歌 (宮古高校校歌)
             (S.Okano-K.Honda) ・・・・・ 10:12




  本田 竹広 (p)  
  2005 年 7 月 31 日 紀尾井ホール (大ホール) にて収録






 気がついたら 本田竹広 のリーダー・アルバムが 15 枚になっていました.
 彼のリーダー・アルバムは 25 枚ほどあるのですが、すでに廃盤になっていたりして、オークションなどでの玉数もかなり少なめです.
 当然そういったアルバムは、値段も高く設定されていますが、ボクはコレクターではありませんのであまり高い値段のものは購入しません.
 いつかは、どこかで巡り会うかもしれませんし、会わないかもしれません ・・・・ 無理には追いかけないようにしています.
 そんな 本田竹広 のアルバム中でも、このアルバムだけはまったく異質な輝きを放っています.


 これはジャズかと聞かれれば、間違いなく答えは 「ノー」 です.
 タイトル通り、"ピアノ・リサイタル" です.
 彼の生き様を知らない人にとっては、 「なんだこのアルバム」 で終わってしまうかもしれません.
 これは 本田竹広 の遺作となったアルバムでもあります.




honda025-2

 ボクが今まで聴いたジャズの演奏の中でベスト 5 を挙げろと言われれば、先日書いた "I'll Close My Eyes / Blue Mitchell" と、アルバム "This Is Honda" に入っている "Softly As In A Morning Sunrise" の 2 曲は間違いなく即答です.
 "I'll Close My Eyes" は、いつどこで聴いても元気な気持ちになるから.
 そして 本田竹広 の "Softly As In A Morning Sunrise" は、ボクにジャズの楽しさを初めて教えてくれたからです.


  "This Is Honda" を聴いて、ボクはジャズの世界の扉を開けることができました.
 もしこのアルバムを聴かなかったら、今ジャズを聴いていなかったかもしれません.
 このアルバム聴くまでは、なんとなくわかったような、いいような、そんなよくわからない感じで、ただ聴いていただけでした.
 そんな時に、ジャズ屋のマスターから紹介されたアルバムがこれでした.
 人の人生なんてあとから振り返ると、もしあの時 ・・・・・・ だったら、なんてことがよくあります.
 ボクも、もしこのアルバムに出会わなければ、まったく違う人生だったかもしれません ・・・・ 人生なんてそんなものでしょう、きっと.


 それから 本田竹広 はボクにとってかなり大事な人になりました.
 彼の演奏スタイルが、大好きになりました.
 そして彼の人生の一部を知った時に、このリサイタルの大きな意味を知りました.
 だから、彼の生き様を知らない人にとっては、 「なんだこのアルバム」 で終わってしまうでしょう.
 ライナー・ノーツにも感動的なことが書いてあります.
 このリサイタルのアルバムを聴いていると、そんな本田氏の人生のことや、ボク自身の今までの人生のことなどが、頭の中でぐるぐると回っています.
 ボクはきっと、こんなには頑張れないだろうな ・・・・・.
 涼しくなった秋の夜には、こんなアルバムでも聴きながら感傷に耽るのも悪くありません.



 最後の "仰げば尊し" は、きっと父親に捧げたものでしょうか.


 ボクは結局、父親に感謝の言葉を言えませんでした.