3 日の夕方、何気なくテレビを点けたら、なんと Jeff Beck が出ていました.

 "ジェフ・ベック レス・ポール・トリビュート" という、彼が昨年エレクトリックギターの生みの親である レス・ポール のために行ったトリビュート・コンサートの模様でした.
 最後の 2 曲くらいしか聴けませんでしたが、驚くほど若々しくてビックリ.




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 最後の 2 曲はロカビリー色の強い演奏で、どこかで見たリーゼント野郎が出ているなぁと思ったら、 Brian Setzer じゃありませんか ・・・・・ 驚 .
 彼もちょっとばかりポッチャリしてしまいましたが、相変わらず グレッチ を弾く姿はカッコイイのであります.
 たまにはロカビリーもいいなぁ.




 さて今夜のアルバムはロカビリーでもなく、先月の "ON ゼミ" でも紹介された 宮間利之&ニュー・ハード .
 実は PC の iTunes をよ〜〜くみたら、なんとこのアルバムが録音されていませんでした.
 そこで今日はこのアルバムを、 iTunes に取り込みながら聴いてみました.






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    " New Herd / Toshiyuki Miyama & The New Herd "





    1. Theme 
            (K.Yamaki) ・・・・ 0:38
    2. Donna Lee 
            (C.Parker) ・・・・ 5:38
    3. Sniper's Snoose 
            (M.Sato) ・・・・ 5:56
    4. Furisode 
            (K.Yamaki) ・・・・ 5:17
    5. Kappa Shijo 
            (K.Yamaki) ・・・・ 10:32
    6. La Fiesta 
            (C.Corea) ・・・・ 6:56
    7. Theme 
            (K.Yamaki) ・・・・ 0:39





    宮間利之 (leader.cond) 、 山木幸三郎 (g.arr) 、
    武田和三.岸義和.白山文男.神森茂 (tp) 、
    片岡輝彦.上高政通.早川隆 (tb) 、
    内田賢英 (b-tb) 、 鈴木孝二 (as.fl.cl) 、 白井淳夫 (as.cl) 、
    森守 (bs.fl.ss) 、 井上誠二 (ts.cl) 、 多田賢一 (bs.b-cl.piccolo) 、
    鷹野潔 (p.el-p) 、 伊藤昌明 (el-b) 、 四方田勇夫 (ds)

    Recorded at Aoi Studio, Tokyo, September 27, 1974.





 1971 年 12 月、 スイス モントルー のカジノでのライブの最中、ファンにより火災が起こりカジノを燃やしたのは フランク・ザッパ & マザーズ ですが、その 3 年後 1974 年 9 月、 宮間利之&ニュー・ハード は カリフォルニア州 モンタレイ・ジャズ・フェスティバル に出演し、大絶賛を浴びました ・・・・・ 同じような地名ですが、まったく別です.
 個人レベルでは、すでに日本からも多くのミュージシャンが渡米し、そこそこ日本のジャズも一部ではあるものの認識され始めてはいたものの、ことビッグ・バンドに関しては全くと言っていいほど認識されていない時代です.
 そんな時代に、 モンタレイ・ジャズ・フェスティバル のトリを務め、さらには絶賛されたというだけでも、今では考えられないくらいすごいことだったのでしょう.



 そんなステージを観ての感想がこれ.
 あの有名なジャズ評論家 レナード・フェザー の記事です.


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  " モンタレイ・フィールドに何が起こったか! "

 日本のニューハードが金曜日の夜、モンタレイに出演した。 ここにジャズ史上初めて外国のビッグバンドが米国の主要ジャズ祭でその主役を務めたわけである。 今まで日本のバンドを単に、物マネがうまいとしか書かなかった評論家たちは当夜のニューハードによって、それが誤りであることが分かったであろう。
 オープニングは前田憲男の編曲によるバッブ曲<ドナ・リー>。 ここでは、競演のガレスピーと岸義和の力強いトランペット・ソロがきかれた。 続いては山木幸三郎と佐藤允彦の作編曲によるオリジナル作品。 このバンドでギターを弾く山木は、2本のクラリネットと2本のフルートを使用して、人の心をとらえる印象的な作品を提供した。 翻訳されたタイトルによれば、「長袖の着物姿ですすり泣く日本女性」である(注:”振袖は泣く”)。 これは伝統に根ざしたモダンな作品である。 この曲に一役買っているのは、ハーマン・ハードのトロンーボン奏者ビル・ハリスによく似たサウンドの片岡輝彦とフルートの鈴木孝二・森守であろう。
  (中略) 
 前田のアレンジによるミンガス作品、<直立猿人>でステージは締めくくられた。 聴衆はまるで釘付けされたように椅子に座ったままだったが、続いて一斉に立ち上がりスタンディング・オペレーションに湧いた。 ともかく、ブリリアントなサックス・ソロと技術的にも申し分のない四方田勇夫のドラムスは注目に価する出来だった。
(Lonard Feather: Mon Sept 23, 1974 Los Angels Times)

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 この時の演奏も 2 枚組のアルバムで発売されていましたが、現在では廃盤.
 そして日本に帰国後すぐに録音されたのが、この "New Herd" です.
 曲目は モンタレイ・ジャズ・フェスティバル で演奏された曲が選ばれています.




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 宮間利之&ニュー・ハード のディスコグラフィーを見ていただけるとわかるかと思いますが、とにかく色々なジャンルの演奏をしています.
 歌謡曲、映画音楽、軍歌、そしてジャズ ・・・・・・・.
 一時期の NHK 紅白歌合戦では、紅組のバンドが 原信夫とシャープス・アンド・フラッツ 、白組のバンドが 宮間利之とニュー・ハード だったこともありますし、歌謡曲を含めたいろいろな音楽番組でバックとしてテレビにも結構出ていました.
 まぁビッグバンドの宿命として、とにかくメンバーのギャラをなんとかしなくちゃいけないので、いろいろな仕事やっていたんでしょうね ・・・・・ もちろんメンバーたちもそれぞれ演奏活動などもしていたようですし.



 そんな色々なアルバムの中に、 "モダンジャズ名曲集" という一枚のアルバムがあります.
 ボクが持っていたものは、女性の裸の ・・・・・ とてもきれいな形のお尻がシルエットになって映っているものでした.
 ジャケットのインパクトももちろんですが、その中で演奏された "褐色のブルース" が大好きだったんですよねぇ.
 この曲は映画 "墓に唾をかけろ (1959 年フランス映画)" の主題曲です.
 この映画の原作は、 ボリス・ヴィアン の書いた同名のハードボイルド小説で、作者の ボリス・ヴィアン 自身もジャズをこよなく愛し、自身もトランペット奏者として サンジェルマン のクラブで演奏していたようです.
 物語の内容は、かなり暴力的で過激な内容のため裁判沙汰にもなったようです.
 哀愁を帯びたメロディがとっても素敵な曲で、そんな曲が ニューハード のようなビッグバンドで、ちょっと現代的なアレンジをして演奏されると何とも言えない雰囲気の出る曲です.



 今日のアルバムとは違う話題に進んでしまったので、軌道修正.
 この "New Herd" の中で最も注目されるのは、 山木幸三郎 が作った "Furisode" (邦題: "振袖は泣く" ) .
 ソロ部分も、日本的音階でのソロなのですが、違和感が全くありません
 宮間利之&ニュー・ハード と言えばこの曲的な有名な曲です.

 この "振袖は泣く" もいいのですが、バリバリのハードバップ "Donna Lee" の独特のグルーブ感ある演奏が大好きです.

 モンタレイ・ジャズ・フェスティバル のステージでも演奏された "直立猿人" はこのアルバムには入っていませんが、この演奏もよかったなぁ.



 さて、今夜はゆっくり "ミレニアム 1" の下巻を読むとしましょう.
 いよいよ今週は、アメリカ版が公開です ・・・・・・ それまでにはなんとか読み終えそうです.