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 2 月の映画鑑賞があまりにも少なかったせいではありませんが、昨日は雨降りの休日久しぶりの映画観賞のため TOHO シネマズ.

 時間的にちょうどよかったので一気に 2 本観てきました.
 両方とも今年の アカデミー賞 を賑やかした作品です.




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 "スリー・ビルボード" はあと一週間ほどで上映が終了してしまうのでギリギリセーフ.



 最初に観たのが "シェイプ・オブ・ウォーター"

 今回の アカデミー賞 で最多 13 部門ノミネートされ、作品賞、監督賞、作曲賞、美術賞の今年度最多 4 冠に輝いた作品です.
 恋愛・怪獣・サスペンス・メルヘン・ミュージカル ・・・・・ など、映画の楽しさがすべてミックスされたような映画です.

 映画の最初から、雰囲気が "ヒューゴの不思議な発明" と "アメリ" のような不思議な感じでした.
 これは音楽と時代背景などがあるからだろうな.




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 主役の サリー・ホーキンス がとてもよかった.

 それ以上だったのが、悪役を演じた マイケル・シャノン 、彼の存在感が半端ない.
 "マン・オブ・スティール" の ゾッド将軍 もそうだけれど、どこから見ても悪役って感じなんだな.
 それもちょっと変質的な ・・・・・・ (笑)


 とにかく音楽が最高で最後までとても楽しく観ることができました.
 この映画はもう一度観るともっと違った印象になるかもしれません.




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 でも、今日の主役はもう一本の映画のほう.

 "シェイプ・オブ・ウォーター" はシリアスな要素を混ぜ込んだファンタジーといった感じでしたが、こちらの映画はもっと重苦しいテーマの映画.






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  " スリー・ビルボード "






  監督: マーティン・マクドナー
  脚本: マーティン・マクドナー
  製作: グレアム・ブロードベント 、 ピーター・チャーニン 、
      マーティン・マクドナー
  原題: "Three Billboards Outside Ebbing, Missouri"
  出演: フランシス・マクドーマンド (ミルドレッド・ヘイズ)
      ウディ・ハレルソン (ビル・ウィロビー署長)
      サム・ロックウェル (ジェイソン・ディクソン巡査)
      ジョン・ホークス (チャーリー)
      ピーター・ディンクレイジ (ジェームズ)
      アビー・コーニッシュ (アン・ウィロビー)
      ルーカス・ヘッジズ (ロビー・ヘイズ)
      ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ (レッド・ウェルビー)
  音楽: カーター・バーウェル
  撮影: ベン・デイヴィス
  編集: ジョン・グレゴリー
  配給:  20 世紀フォックス映画
  日本公開:  2018 年 2 月 1 日
  上映時間:  115 分






 アカデミー賞 では 作品賞、主演女優賞、助演男優賞 (二人)、脚本賞、作曲賞、編集賞の 6 部門で 7 つのノミネート.
 どうして 監督賞 にノミネートされなかったのか、ちょっと不思議.

 主演女優賞 (フランシス・マクドーマンド) と 助演男優賞 (サム・ロックウェル) を受賞しました.




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  "シェイプ・オブ・ウォーター" とこちらのどちらがいいか聞かれれば、ボクは断然こちらを選ぶかな.

 どちらの映画も行き先が見えない映画ですが、 "シェイプ・オブ・ウォーター" のほうはちょっと夢を感じさせてくれます.
 でも、こちらの映画はどんどんどん詰まりの状態で堕ちていっちゃう感じ.



 怒りや悲しみが連鎖反応して、どんどん悪い方に堕ちていくんだな.
 最後も決してハッピー・エンドじゃないんだけれど、不思議と観終わった後の絶望感のようなものがそんなにはない.


 悲しみや怒りの矛先がどんどん過激に向きを変えていってしまいます.
 この先 アイダホ までどういう運命が待っているんでしょう ・・・・・・


 楽しい映画じゃないんですが、なぜかニヤッとしてしまうところもあったり.
 どことなく "ファーゴ" に似ている.




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 フランシス・マクドーマンド の アカデミー賞 主演女優賞 には納得.
 怒りや悲しみといった感情が全身に表現されています.
 鬼気迫る演技って、こういう演技を言うんでしょうかね.

 観ていて共感できる部分もあるし、完全に引いてしまうような部分もあったり.
 完全に自分自身を抑制できなくなっちゃっています.
 怒りや悲しみの矛先がどんどん違う方にいってしまうのも、何となくわかるような気もします.

 とにかくどこかにぶつけたい、って感じなのか.



 彼女は "ファーゴ" (1996) でも アカデミー賞 主演女優賞 を獲得しています.
 あの時は大きなお腹でフーフー言っている警察署長でしたが、今回は立場が完全に逆転.

 演じている役は全然違うけれど、とても似たような雰囲気の映画になっています.




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 この映画観るまで、 アカデミー賞 各賞の結果はほとんど知りませんでした ・・・・・ まぁ 作品賞 と日本人の 辻 さんが獲得したくらいは知ってましたが.

 だから 助演男優賞 にこの映画から二人がノミネートされたことも後で知りました.

 署長役 ウディ・ハレルソン の演技もとてもよかった.
 とても共感できるような部分が多くありましたし.

 この映画では脇役のそれぞれの家庭などもしっかり描写され、それがそれぞれの個性として画面に映し出されています.

 それだけに彼の最期がねぇ ・・・・・・・




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 それに比べ サム・ロックウェル が演じた ディクソン巡査 がひどすぎる.
 過保護な環境で育った オバカ さん ・・・・・ ですが、ある意味で超実直.
 こういう警察官って絶対いそうだな、って思っちゃう.


 観ていても吐き気がするほど嫌な奴 ・・・・・・ 最初はクビになってお終いなのか、って思っていました.
 ところが、いつの間にか映画の中での立場が微妙に変わって、彼に対する印象も微妙に変化していきました.

 こういう職場での映画に描かれていたような連帯感・仲間意識は絶対ありです.

 明るい未来はなさそうだけれど、すごく映画の先が気になってしまいます.




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 映画の中でも 南部 ・・・云々 っていうセリフがありました.

 映画のタイトルにもある ミズーリ州 ってボクも知らなかったのでちょっと調べてみたら、 南北戦争 ではちょうど境界線にあたる部分で位置的にも政治的にもとても微妙だったようです.
 1820 年の ミズーリ協定 により 奴隷州 でもあった ミズーリ州 ですが、 南北戦争 では北軍 (合衆国軍) に留まっています.


 そんなことも含めた人種差別の描写だったのでしょうか.

 あえてタイトルに ミズーリ を入れた意味がきっとあると思うんだけれど ・・・・




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 監督の マーティン・マクドナー ってボクは全く知りませんでした.
 今回調べてみたら、 アイルランド の劇作家としての名声がとても高い方でした.

 映画監督としては 4 本目の作品ですが、過去の作品はいろいろな賞を獲っています.
 初めての監督作品は短編映画 "Six Shooter" で、この映画も アカデミー賞 短編映画賞 を受賞していました.




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 今年になって初めての映画の記事です.
 両作品ともに、 アカデミー賞 の多くの部門にノミネートされるだけのいい映画でした.

 やっぱりこういう映画は映画館で観るのがいいなぁ.




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 彼女のいろいろな顔がなかなか脳裏から離れません (笑)


 久しぶりの映画館でしたが、面白い映画の世界に浸るのはやっぱり楽しいですね.




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