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 とうとう ゴールデン・ウィーク 突入.
 巷では至る所に 「平成最後の ・・・ 」 の文字です.

 この 30 年は、ボクの人生の中でもものすごく大きなことがありましたが、今になって振り返ると本当にあっという間の 平成 って感じです.




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 ● 4/27 平成最後の 電柱のある風景 ●

 この大型連休、まったく出かける計画がないので、せめても映画や音楽に没頭しようかと思っています.


 "Game Of Thrones" も第 1 章から第 7 章まで一気に観直しも終わりました.
 とりあえず昨日は古典的映画を何本か観てみましたので、そんな映画のことを書いてみます.




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 今回の映画 2 本はとても共通する部分が多い.
 90 年以上も前の映画が、今でもいろいろな楽しさを教えてくれるって、すごいですね.

 音楽も、映画も、美術品も ・・・・・・ いいものは時を超越するんでしょうか.





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  " メトロポリス / ジョルジオ・モロダー版 "





  監督: フリッツ・ラング
  脚本: テア・フォン・ハルボウ 、 フリッツ・ラング
  製作: エリッヒ・ポマー
  出演: ブリギッテ・ヘルム (マリア)
      アルフレート・アーベル (フレーダーセン)
      グスタフ・フレーリッヒ (フレーダー)
      ルドルフ・クライン=ロッゲ (ロトワング)
  音楽: ゴットフリート・フッペルツ
  撮影: カール・フロイント 、 ギュンター・リッター
  編集: レイ・ラヴジョイ
  配給: UFA
  日本公開: 1929 年 4 月 3 日
  上映時間: 104 分

  ジョルジオ・モロダー版
  音楽、編集: ジョルジオ・モロダー
  日本公開: 1984 年
  上映時間: 82 分






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 オリジナルは ドイツ で 1927 年公開され、 3 時間 30 分ほどの長編映画だったようです.
 ただ、これでは興行的に採算が合わないためか、 2 時間ほどにズタズタにカットされ アメリカ 公開されました.
 日本 で公開されたときにはさらにカットされたようです.

 これは当時の時代背景と映画の内容をみると、容易に想像できます.


 今回の ジョルジオ・モロダー版 は、 1984 年に公開されました.
 ジョルジオ・モロダー が新しく音楽を書き、さらにフィルムに着色したりしてあります.




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 この映画は現在パブリック・ドメインですが、とにかくいろんなヴァージョンが存在しています.
 オリジナルのフィルムがすぐにカットされ、そのフィルムのほとんどが消息不明になってしまったため、完全なオリジナルの復元は不可能と言われています.


 2008 年に アルゼンチン で新しいフィルムが見つかったという話は結構話題になり、その当時ボクも耳にしました.
 その発見された映像を加え " 2010 版" としてソフトも発売されました.

 " 2010 版" は リストア されて映像もとてもシャープな感じになっていますが、発見された映像の部分は全体が雨ふりって感じで画質の違いが一目瞭然です.
 ちなみに " 2010 版" は You Tube にアップされていました.

 そんなこともあって、ボクはこの ジョルジオ・モロダー版 が一番好きです.
 



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 なんと言っても音楽でしょう.

 "Machines" が流れ出しただけでも、もう気分はワクワク.
 この映画では、昨年から話題になっている フレディ・マーキュリー はじめ、 パット・ベネター 、 ボニー・タイラー ・・・・・ などの歌声を聴くことができます.

 この映画の音楽聴いているだけでも、映画が MTV や ベスト・ヒット・USA に思えてきちゃう (笑)
 1980 年代ってこういう感じだったよねぇ ・・・・・


 ボニー・タイラー なんてさ、名前聞いただけで 山下真司 の泣き顔が浮かんできちゃうもん ・・・・・ ドラマでは 麻倉未稀 の歌でしたが.
 ちなみに ボニー・タイラー と言えば、一番好きなのが "Total Eclipse of the Heart" だけどね.




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 ストーリーは単なる SF 映画ではなく、 資本主義 と 共産主義 の対立を描いてあるので、単に映画の長さだけの都合でなく、こういった政治思想的な部分でもカットされたんでしょうか.

 後に大ヒットした "スターウォーズ" に登場する C3PO が、この映画の中で登場した ロボット の影響を受けていることは有名なお話し.

 映像もものすごく工夫してあり、絵に描かれたような都市の中で群衆が動いて行ったり.

 この映画がのちの映画にとても大きな影響を与えたことは言わずもがな.




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 映画で表現されていたロボットやテレビ電話は、すでに現実的なものになっています.

 エキゾチックな歓楽街の名前が ヨシワラ 、この頃も海外では 吉原 は有名だったのでしょうか.
 かとおもうと 七つの大罪 のことなんかも描かれているし.


 エンディングに関しては、ヴァージョンによっていろいろ違っているようです.




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 さてもう一本も大作.




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  " ナポレオン "





  監督: アベル・ガンス
  製作: アベル・ガンス 、 ロバート・A・ハリス ( 1981 年版)
  脚本: アベル・ガンス
  主演: アルベルト・デュードネ (ナポレオン)
      ウラジミール・ルーデンコ (少年期ナポレオン)
      ジーナ・マネス (ジョゼフィーヌ)
      アントナン・アルトー (マラー)
      エドマン・ヴァン・ダエル (ロベスピエール)
      アレクサンドル・クビッキー (ダントン)
      アベル・ガンス (サン=ジュスト)
  音楽: カーマイン・コッポラ ( 1981 年版)
  撮影: ジュール・クリューゲル 、 レオンス=アンリ・ビュレル 、
      ジャン=ポール・マンドヴィエ
  公開: 1927 年 4 月 7 日
  上映時間: 222 分 ( 1981 年版)





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 この映画 "ナポレオン" が公開されたのが 1927 年で、"メトロポリス" 同じ年 ・・・・・ まず共通点.

 "メトロポリス ジョルジオ・モロダー版" が 1980 年代初めに公開されたように、この "ナポレオン" も同じ時代に世界で上映されました.


 さらに両映画ともにサイレント映画で、 1980 年代の公開時にはそれぞれ新しい楽曲が使われていました.
  "メトロポリス" の公開が ジョルジオ・モロダー の情熱によるものだったように、この映画の公開に関しては フランシス・コッポラ の情熱によるものです.


 そしてなにより、この二つの映画はエポックメイキングな映画として評価も高い.




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 ボクは昔から古典的な映画も結構好きで、1983 年には 武道館 にこの "ナポレオン" を観に行きました ↑↑↑

 アリーナの前から 7 列目で、客席の前にオーケストラがいて、その奥に巨大スクリーンだったと思います.
 当時の価格で 8,000 円、 新日本フィルハーモニー交響楽団 の生演奏付きで、終盤左右の幕が上がってからの トリプル・エクラン は悶絶ものでした.
 そして何より音楽がよかった !!


 ちなみに一緒に行った女性の顔を思い出せない.


 この時見た映画も 220 分と超大作、途中で休憩がありました.




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 ブリエンヌ兵学校 での雪合戦から映画は始まり、イタリア遠征の場面で約 4 時間の映画が幕を閉じます.

 ボクの持っている DVD は 222 分ものですので、きっと 1983 年公開のものとほとんど一緒でしょう.
 少し前にリマスターされたようですが、 Blu-ray の情報等は不明でした.
 海外の Amazon 見たら、2016 年発売の Blu-ray があって、上映時間は 332 分とありますので、ほぼオリジナル版ということでしょうか.
 ただ、そうなると カーマイン・コッポラ の音楽は入っていそうもないですね.

 これまた You Tube に、新しくなった映像の予告編がアップされていましたが、この映像のきれいさには正直びっくり.


 いずれ国内版が出るのかどうか ・・・・ ただ、 カーマイン・コッポラ の音楽がないと、正直買おうという気になれないかな.




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 さてこの映画の最大の売りは、そのカメラワーク.
 それまでは、ほぼ固定したカメラでの撮影がほとんどだったようですが、 アベル・ガンス は手持ちで移動させたり、馬に乗せたり、ギロチンに付けたり、早いカットの連続など ・・・・ 映像表現にものすごくチャレンジしています.

 そんな中でも一番が、トリプル・エクラン (ポリビジョン) .
 "ナポレオン" と言えば トリプル・エクラン なのです.
 これはね、実際に観ないとそのすごさが絶対に伝わらないと思う.

 一応 DVD でも表現はされているんだけれど、それまで大きかった画像が小さくなって、その左右に映像が加わるって感じだから、正直感動はないな.


 武道館 で観たときは、左右の幕が上がり始めて、みんなが 「おおーーーっ」 って感じでした.




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 上の画像が終盤の トリプル・エクラン 、画像の端から端へ馬が駆け抜けていったときにはちょっとした感動がありました.
 3 台のカメラを使っているので、画面のつなぎ部分はダブったりすることも多くありますが、そんな細かなことは問題ないかな.
 これを作品にしたというのが、本当にすごい.

 この映画は、場面によって単色の色付けがされています.
 たしかこれは コッポラ がやったもので、オリジナルには色付けがされていないと思います.
 ここも "メトロポリス" と同じだなぁ.




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 ● 右端が サン・ジュスト を演じた アベル・ガンス ●

 テルミドールのクーデター の場面では、ボクの大好きな "幻想交響曲 第 4 楽章 「断頭台への行進」" が流れます.
 まさにピッタリの場面ですが、曲自体は荘厳な雰囲気を持っていますが妙に高揚感もあるような印象を受けます.
 ちなみに 第 5 楽章は、映画 "シャイニング" のオープニングにも使われていました.
 

 ということで、最後はちょっと話が違うほうに行きましたが、二つの映画は今観てもとても感動する映画です.

 こういう映画の時間に浸っている休日は、最高なのです.



 さて次は "ヨーロッパの開放" 一気観にチャレンジしようかな.
 こちらはきっと途中で心が折れると思うけど ・・・・・・・・




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