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 土曜日は 国立西洋美術館 で絵画鑑賞.
 世界遺産に登録されるといった話題で一番ホットな美術館です.


 東京都美術館 で開催中の "若冲展" が 2 〜 3 時間待ち当たり前状態だったので、 国立西洋美術館 もかなり混んでいることを覚悟して行ってきました.




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 11 時頃の入館でしたが、こんな感じ.
 まぁ混んでいることは混んでいますが、思ったほどではありません.


 ちなみにこの列はチケット購入の列ですので、すでに前売り券等を持っている方は入口からすんなり入場できました.
 展示場内も大勢の人がいましたが、次の絵に進めないという感じはありませんでした.


 恥ずかしながら カラヴァッジョ についてはほとんど知りませんでした (汗)
 レンブラント なども時代的にあまり好きではなかったので ・・・・・・・


 だから今回絵を観ては 「あぁ、この作品が ・・・・・・ 」 状態.

 イタリアでは紙幣のデザインに彼の顔も使われているくらい、有名な画家なのでした.
 今回調べてみたら、どえりゃあ (秀吉風) すごい画家じゃありませんか.




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 ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ (Michelangelo Merisi da Caravaggio)
 1571 年 9 月 28 日生、 1610 年 7 月 18 日没、 バロック期 のイタリア人画家.


 写実的手法と光と陰の明暗を明確に分ける表現は、 バロック期 の画家たちに大きな影響を与えたようです.
 かなり粗暴な性格で、絵の代金で酒を飲んだくれ、酔っては乱闘騒ぎ、さらには決闘で人を殺してしまい死刑判決を受けるものの逃亡、その後 ローマ教皇 の恩赦を受け マルタ騎士団 に入団するものの、そこでも乱闘騒ぎを起こしてしまい騎士団から追放、放浪の生活の中で彼は次々に傑作を完成させていき、ついに ローマ に戻れることになったものの ナポリ から ローマ へと向かう旅の途中で熱病のために死去した ・・・・・ というのが定説になっています.





 そんな カラヴァッジョ展 について、今回はできるだけガッツリ書いてみようと思います.




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 カラヴァッジョ展 はすべて写真撮影禁止でしたので、展示場での写真は全くありません.
 ですので絵画の写真はネットから拾ってのもの.
 個人のブログで展示場内の写真を掲載している人がいますが、隠し撮りでしょうかね ・・・・・・ ただし、報道などの関係者内覧会の際は写真撮影可能だったようです.


 よくわからない画家だったので、今回はじめて音声ガイドのヘッドフォンをつけての鑑賞をしてみました.
 実は、これが思いのほかよかった.
 ナビゲーターは俳優の 北村一輝 と 小川もこ .
 こういうガイドを聴きながら立体的に絵を観ると 「なるほど」 なのです.



 
 作品の展示は風俗画、静物、肖像、光さらに斬首 (!) など、全部で 7 つのテーマ + 1 で構成されていました.
 それぞれに カラヴァッジョ の作品と カラヴァジェスキ と呼ばれる画家たちの作品が展示されています.
 今回展示された カラヴァッジョ の作品は 11 点.
 現在彼の作品と認められているものが約 60 点ですので、とても充実した展示ということになります.

 テーマごとに展示されていた彼の作品の一部をアップしてみましょう.





  1. 風俗画: 占い、酒場、音楽 
    (Genre Painting: Fortune-telling,Taverns,and Music)

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   "女占い師" (1597 年) 


 最初に目にするのがこの風俗画です.
 テーマは手相占いをしながら男から指輪を盗もうとしている場面.
 この絵の影響か、当時 "女占い師" をテーマにした作品も人気があったようです.
 隣には シモン・ヴーエ の "女占い師" (1618 - 20 年) も展示されていました.




  2. 風俗画: 五感 (Genre Painting: The Five Senses)

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   "トカゲに噛まれる少年" (1596 - 97 年頃)
 

 泣き顔を書くのはとても難しいらしい.
 この絵は花に潜んでいたトカゲに右手中指をかまれ驚いた少年の表情を描いています.
 この写真ではよくわかりませんが、ガラスの花瓶の描写もものすごい.




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   "ナルキッソス" (1599 年頃)


 ナルシストの語源にもなっているギリシャ神話に登場する少年.
 水面に映った美しい少年 (自分) に恋をし、手で触れようとすると波で消えてしまう.

 この絵もハッとするくらいで、特に水面に映し出される姿がいいのです.




  3. 静物 (Still Life)

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   "果物籠を持つ少年" (1593 - 94 年)


 バロック絵画の特徴でもある過剰なまでに描きこまれた細部表現が見てとれます.




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   "バッカス" (1595 年)


 このワインの入った瓶に カラヴァッジョ の顔も描かれているというのですが ・・・・・・・
 それを知ったのは観賞後だったので全く気が付きませんでした (笑)




  4. 肖像 (Portraiture)

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   "マッフェオ・バルベリーニの肖像" (1596 年頃)




  5. 光 (Light)

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   "エマオの晩餐" (1606 年)


 この絵は以前から知っていた絵でした.
 暗闇から人物だけが飛び出しているような、光と影の表現がすごい.
 こういうのは写真集などで観るのと、本物では大きさや色など全然違います.
 こういった美術展ならでは.

 ほのかな光に映し出されるそれぞれの表情が素晴らしい.




  6. 斬首 (Decapitation)

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   "メドゥーサ" (1597 - 98 年頃)


 これは盾に書かれており、同じような作品が存在しています.
 絵の描かれている面は凸面なのですが、見た感じは凹んでいる面から顔が飛び出して見えるようになっています.




  7. 聖母と聖人の新たな図像 
    (New Iconography for the Virgin and Saints)

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   "法悦のマグダラのマリア" (1606 年)


 ボクが今回一番印象に残ったのがこの絵です.
 これは、本当にすごいです.
 本当に、ビックリするくらいのインパクトなのです.


 一筋の涙やいばらの冠、十字架 ・・・・・・・ そしてあの表情や肌の感じが.
 これは実際に観ないとそのすごさが伝わらないかなぁ ・・・・・・・

 カラヴァッジョ はこの マグダラのマリア を題材にした絵を他にも数枚書いています.
 また他の画家たちによって書かれた マグダラのマリア もたくさんあります.



 いったい彼女はどんな女性なのか調べていったら ・・・・・・・・・・・

 新約聖書中の福音書に登場する イエス に従った女性で、 イエス の死と復活を見届ける証人であるとともに、教会によっては 罪の女 といった見方がるようです.

 教会によっていろいろ見方が変わってしまうため、絵画でも印象が全く違うものが多々あります.

 こういった宗教絡みのお話しになると ・・・・・・・・・ とっても深すぎて迷子になりそうなので止めました.




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   "洗礼者聖ヨハネ"


 こういった姿勢もバロック期の彫刻の特徴のようです.




  ・ミニ・セクション エッケ・ホモ (Special Section: Ecce Homo)

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   "エッケ・ホモ" (1605 年頃)


 マッシミ枢機卿 が 3 人の画家に同じ "エッケ・ホモ (この人を見よ)" を題材に描かせた内の一点です.

 "エッケ・ホモ" とは、磔刑を前に鞭打たれ荊冠を被せられた イエス・キリスト を前に、 ピラト が群衆に向けて発した言葉.

 カラヴァッジョ と チゴリ の比較展示になっていましたが、当然かなり雰囲気が違います.
 これらの絵を注文したのは同じ人物で マッシモ・マッシミ というローマの貴族.

 カラヴァッジョ の絵は、相変わらず黒い背景にぼんやりと光が当てられています.





 カラヴァッジョ のこれらの絵の特徴として、背景がほとんど描かれていないことが挙げられます.
 全体的にダークでそこに光が差し込んでいます.
 艶めかしかったり、凄惨だったり ・・・・・・・

 あまりの描写に、依頼人が受け取りを拒否したこともあったようです.




 今回の展示には、ところどころに彼が生きた時代の裁判記録なども展示されていました.
 こういった何世紀も前の記録が、非常にいい状態で残されていることにもただただ驚きでした.



 世界遺産 になりそうだからと軽く行った美術展でしたが、とてもとても感動させられた至福の時間を過ごしてきました.








 さて、 カラヴァッジョ展 のチケットがあると指定日以外は 常設展 の入場が無料になります.


 ここからは 国立西洋美術館 の建物の写真撮影です.
 こちらは絵画を含めほとんど写真撮影できます.

 常設なので、昨年 3 月に見た時とほとんど同じような展示内容でした.
 ですので今回は絵画鑑賞はまったくせずに写真撮っていたという感じです.



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 展示されている彫刻だけに目がいってしまいそうですが、このホールの吹き抜けがすごくいいんです.



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 このコンクリート柱も今まで全く気にもしませんでしたが、よく見ると建設当時の木枠の木目がしっかり残っています.



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 こういった空間の切り方もいいなぁ.



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 何気ない中庭ですが、彫刻を入れてみてみると雰囲気が変わります.



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 ということで 国立西洋美術館 で開催中の カラヴァッジョ展 を中心に、かなり頑張って書いてみました.
 やっぱりこういった絵画鑑賞は心身ともにリフレッシュできます.



 今回の 東京 はまだ 銀座 などの写真もあるので、機会をみてもう一回くらい書いてみようかと思ってます.



 追記:
 見つからなかった音声ガイド・プログラムが見つかったので、全 11 点の写真を順番に並べました.

 この美術展は絶対にお勧めなのです !!!



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