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 ボクが今ひとつ理解できないのが ハロウィン のバカ騒ぎと ボジョレーヌーボー 解禁の騒ぎ.
 なんで毎年こんなに大騒ぎするのか ・・・・・・ いまだにわからないなぁ.



 まっ、そんな話し話しは置いておいて ・・・・・・
 前回かなりマニアックなことを書いてしまいましたので、今日はきちんとジャズのお話しです.




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 先日 WOWOW で "Miles Ahead / マイルス・デイヴィス 空白の 5 年間" を観ました、ようやくって感じですね.
 当然のように、こういった映画はボクの住んでいる辺りでは上映されないので今頃なのです.


 この映画が公開された時にもかなりの賛否両論が飛び交ってました.
 映画自体は マイルス が沈黙していた 5 年間に絡んでの未発表テープの奪い合いって感じですが、あくまでフィクション.
 そういう割り切った観方をすれば、まぁこれはこれで楽しかったですよ.

 特にいろいろなエピソードが散りばめられているので、ところどころでニヤッ.
 こんなことも確か起きたんだなぁ ・・・・・・ なんて.
 若干時代的に違っていたりする部分もあり、それらについては 小川隆夫 氏も指摘してました.

 逆にそんなエピソードをいろいろ探すのも面白かった.




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 最初は違和感のある ドン・チードル 版 マイルス ですが、後半になるとだんだん違和感も無くなってくるのはこういった映画ではよくあること.
 特に演奏する場面は、彼自身かなりの練習をしたようでとてもサマになっていました.


 この映画のキーパーソンとも言える マイルス の最初の妻 フランシス・テイラー .
 ジャケット写真でしか見たことありませんが結構似ていたんじゃないのかな.
 "Someday My Prince Will Come" のジャケット写真が微妙に変えてあったのには笑ってしまいましたが.




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 映画の中で ギル・エヴァンス (もっと痩せて神経質っぽく、ストイックな感じがあればよかったかな ・・・・ ) との吹込み風景が出てきます.

 その場面で演奏された曲がこのアルバムに入っていた曲 "Gone" です.

 そういえば冒頭の場面でも "Solea" が マイルス 自身のリクエストとして流れていました.





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  " Porgy and Bess / Miles Davis "





  1. The Buzzard Song ・・・・・ 4:06
  2. Bess, You Is My Woman Now ・・・・・ 5:10
  3. Gone ・・・・・ 3:37 (Gil Evans)
  4. Gone, Gone, Gone ・・・・・ 2:03
  5. Summertime ・・・・・ 3:19
  6. Oh Bess, Oh Where's My Bess? ・・・・・ 4:29
  7. Prayer (Oh Doctor Jesus) ・・・・・ 4:38
  8. Fisherman, Strawberry and Devil Crab ・・・・・ 4:04
  9. My Man's Gone Now ・・・・・ 6:12
  10. It Ain't Necessarily So ・・・・・ 4:22
  11. Here Come de Honey Man ・・・・・ 1:17
  12. I Wants to Stay Here (I Loves You, Porgy) ・・・・・ 3:38
  13. There's a Boat That's Leaving Soon for New York ・・・・・ 3:24
  14. I Loves You, Porgy (alt-tk 1) ・・・・・ 4:15
  15. Gone (take 4) ・・・・・ 3:42 (Gil Evans)





  Miles Davis (tp.flh), Gil Evans (arr.cond),
  trumpet : Ernie Royal, Bernie Glow, 
        Johnny Coles, Louis Mucci
  trombone : Dick Hixon, Frank Rehak,
         Jimmy Cleveland, Joe Bennett
  horn : Willie Ruff, Julius Watkins, Gunther Schuller
  tuba : Bill Barber
  flute, alto flute & clarinet : Jerome Richardson, 
                   Phil Bodner, Romeo Penque
  alto saxophone : Cannonball Adderley
  alto flute, bass flute & bass clarinet : Danny Bank
  bass : Paul Chambers
  drums (# 1, 3-7, 9, 12-15) : Philly Joe Jones
  drums (# 2, 8, 10 & 11) : Jimmy Cobb

  Recorded at 30th Street Studio, NYC,
          July 22 & 29 and August 4 & 18, 1958.






 ギル・エヴァンス との共演は "Miles Ahead" に続いてで、 モード・ジャズ に突き進み始めた頃の録音になります.
 この翌年には モード・ジャズ を確立したとも言われる名作 "Kind Of Blue" が録音されています. 
 映画ではこの "Kind Of Blue" について マイルス が否定的なことを言ってました.





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 実はこのアルバム、ボクはたぶん一・二度しか聴いてないと思います.
 ギル・エヴァンス との演奏だったら 1959 年の "Sketches of Spain" のほうが圧倒的に聴いています.
 冒頭の部分に流れた "Solea" も、この "Sketches of Spain" に入っている曲でした.


 まぁそれでもこのアルバムの "Gone" は結構好きな曲でしたので、雰囲気だけはなんとなく覚えていましたが、アルバム全体としては結構漠然と "Miles Ahead" と同じような感じ ・・・・・・ というような印象.


 今回比較的しっかり何度も聴いてみると、 "Miles Ahead" とは全然違うことを発見.


 "Porgy and Bess" のほうが マイルス 中心という感じで、そこにアンサンブルが干渉してくるって感じなんだな.
 このアルバム全体が "Porgy and Bess" というオペラの楽曲 (一曲だけ ギル・エヴァンス の曲ですが) を使っているにもかかわらず、完全に マイルス の音楽になっちゃっている感じなのです.
 ギル・エヴァンス の編曲がさらにそこに独特なクールさを加えちゃってます.

 とってもクールなアルバムです.




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● 映画 "Porgy and Bess" ポスター (1959年) ●

 さてこの "ポーギーとべス" ですが、 ジョージ・ガーシュイン が 1935 年に書き上げた三幕からなるオペラ.
 原作は Edward D. Heyward が 1925 年に発表した "ポーギー (Porgy) " で、 1927 年に舞台化.

 実はボク、今回これを書いて初めてこのあたりのことを知りました.
 今までは単純に "Summertime" が入っていたミュージカル程度の知識しかなく、当然ストーリーも全く知りませんでしたから.
 それと "I Loves You, Porgy" くらいかな.

 この "Porgy and Bess" をベースにしたアルバムもいくつかあり、中でも エラ・フィッツジェラルド と ルイ・アームストロング のアルバムが有名.


 そして、何といってもこのオペラの最初の場面で歌われる "Summertime" .
 この曲はジャズだけではなく他のジャンルでも歌われるほど有名な曲で、特に好きなのは ジャニス・ジョプリン のアルバム "Cheap Thrills" での演奏、これはとても有名.


 ちなみに上の写真の映画ですが、 ガーシュウィン の遺族からクレームがつき、契約にもとづく映画公開とテレビ放映が終了した後は原版が処分され、永久に封印されることになったようです (Wikipedia から)




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 ジャズを聴き始めた頃は、正直 ギル・エヴァンス とのアルバムはあまり好きじゃなくて聴かなかった.
 感覚的に "Live at the Plugged Nickel (1965)" や "Four & More (1964)" といった演奏のほうが当時は好きだったので、一連の ギル・エヴァンス とのアルバムはなにか別もの的な感じでした.


 もう少し大人になってようやく "Miles Ahead (1957)" や "Sketches of Spain (1959)"
 この記事は金曜日から書いているんだけれど、この "Porgy and Bess" もすでに何十回聴いたものか.
 でも全然気にもならないし、もっと聴いていたいくらい.




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 映画の中で演奏される "Gone" は テオ・マセロ が 「テイク 3 」 と言っていました.
 この曲、やっぱりいいねぇ.
 エッジの効いているアンサンブルでとても現代的な雰囲気を持ってます.
 この曲だけは ギル・エヴァンス の曲のようですが、どうしてこの曲だけこのアルバムに入っているのかはわかりません.
 一説によると "Porgy and Bess" の中の曲にインスパイアされて作ったというようなこともどこかに書かれてました.

 ちなみに今日のアルバムの最後の 2 曲はボーナス・トラック.
 "Gone" の別テイクもグッド.



 一連の ギル・エヴァンス とのアルバムは聴けば聴くほど新しい発見や感動のあるアルバムかな.




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 映画は ドン・チードル の マイルス 愛に溢れた映画という感じです.
 まぁ、確かにこれはないだろうという銃撃戦などもありますが.

 途中に流れる音楽だけでもジャズ・ファンだったらおもわずニヤリ.




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 エンディングのセッション・シーンは "What's Wrong With That ?" という ロバート・グラスパー
の曲.
 登場するのは Herbie Hancock 、 Wayne Shorter 、 Robert Glasper 、 Gary Clark Jr. 、 Keyon Harrold 、 Antonio Sanchez 、 Esperanza Spaulding .
 映画の音楽担当が ロバート・グラスパー 、 演奏のトランペットの音は キーヨン・ハロルド .

 この演奏部分はとても興味深い演奏場面ではありますが、映画的にはテロップだけでそのバックに音楽や マイルス の声だけ流れるようなのがボクは好きですが (笑)


 このエンディングを観ていたら、なんとなく "ラウンド・ミッドナイト" を思い出してしまいました.




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