平塚

Ballads / John Coltrane

  ・ ・ ・ ・ ・ ・




 前回の スタンレー・タレンタイン の記事書いていて、昔のジャズ屋のことを思い出したのでちょっとそんなこと書いてみようか.
 タイミングよくとても懐かしいものも見つけましたし、お盆でもありますし昔を思いながら.



pappar005
 昔ボクが通っていたジャズ屋のマッチ写真
   ( 平塚市 の 福山 さまから提供していただきました)

 まさか当時のマッチを見ることができるとは ・・・・・・・ 感慨一入
 ちなみに 「Olwake」 と書かれていますが、正しくは 「Oiwake」 なんだな.


 あの頃はこういったマッチがほとんどのジャズ喫茶に置いてあり、それらを集めるのも楽しみの一つだったりします.
 ちなみにこの "Pa-ppar" の姉妹店ともいえるライブハウス "Furisode" のマッチはエッチングで描いたようなイラストでとてもよかったことを記憶しています.



 ボクとジャズの出会いについては、ず一一一一一一一一一一っと前数回にわたり 書きました

 そのジャズ屋も、当時全国にあったほとんどのジャズ喫茶がそうだったように、結構シリアスなジャズを追いかけていたジャズ屋.
 Blue Note といえど、 ジミー・スミス のアルバムなんて店内で聴いたのは数えるほどかなぁ.
 スタンレー・タレンタイン にしたって、初期の Blue Note のアルバムくらいが許容範囲という感じで、 CTI なんてもってのほかなのです (笑)


 そんな雰囲気の中で育ってきたのでかなり偏っちゃってます.
 例えば スタンレー・タレンタイン で気に入った CTI のアルバムがあったとしても、リクエストなんて ・・・・・・・・
 だから自分で買って密かに聴く感じになっちゃってました.
 「CTI のアルバム買った ! 」 なんて、とても言いにくいんだよね (笑)


 暗黙のルール ・・・・・・・・・・
 リクエスト禁止アルバム ・・・・・・・・・・
 会話厳禁 ・・・・・・・・・・


 こんな感じで、当時のジャズ喫茶には入り難い要素がいくつかありました.
 ものすごく閉塞的な小さな世界でしたから、ジャズを聴いている人たちでさえ、他の知らない店に入ったりするのは結構勇気がいります.

 はい、敷居高すぎます !!!


 逆にそういったことをまったく知らなかったりする人たちは、平気で話題性のあるようなアルバムをリクエストしてたりしましたが ・・・・・・・・・




Pappar006
 (この写真は比較的新しい写真です、入口の周りの木がかなり腐っていますので)


 よく言われますが、ジャズ喫茶は会話厳禁というのはかなり都市伝説っぽいですね.
 まぁ中にはそういうお店もあったかもしれませんが、ボクの通っていた場所は普通にカウンターに座ってマスターたちといろいろな話ができました ・・・・・・ 逆に常連なんかはそういう会話を求めて通っていたと言っても決して過言ではないかな.
 お酒も出していたので、ほろ酔いの常連たちがマスターやスタッフとカウンターでいろいろなことをワイワイ、ガヤガヤなんて毎晩のことです.


 ただし、自分でリクエストしたアルバムはしっかり聴く !!
 これはどこのお店に行っても同じでしょうね、ジャズ屋の最低限のマナーかな.
 最悪なのがカップルできて 「オレ、ちょっとジャズ聴いているから ・・・・」 って感じで コルトレーン のヘビーな演奏をリクエストしたまま、そのアルバムが流れても彼女とずっと喋っていたりするヤツでした.
 中にはリクエストしたアルバムの途中で帰っちゃう強者までいたりしました.


 ボクは一応仕事で平塚に出て行ったのですが、知らない土地だから友達もほとんどいない状態だったので、仕事が終わると夕方からはとにかく暇.
 だからこのジャズ屋に通い始めるようになって、ほぼ毎日通っていたと言っても決して過言じゃないです.
 そのお店のすぐ隣にあった定食屋で夕飯食べて、そのままジャズ屋が生活のリズム.
 パチンコ依存症の方の中には、とにかく一日に一回はパチンコ屋に行かないとダメという人が結構おいでのようですが、それと全く同じ感じでした (笑)


 そこに行けばいろいろな人たちと話もできたし、音楽も聴けた.
 通ううちに友達も増えてもきたし、いつしか恋人まで ・・・・・・・・

 今思うとボクの過ごしたこの数年間は、すべてジャズ屋を中心とした思い出ばかりです.



  ・ ・ ・ ・ ・ ・




 このアルバムも、そんなジャズ屋で知ってからアナログ盤をジャズ屋経由で購入しました.
 当時はなんとなく コルトレーン に傾倒していき、数十枚のアルバム集めましたが、このアルバムはそんな中でも確か 2・3 番目に購入したように覚えています.




Coltrane029






  " Ballads / John Coltrane "





  1. Say It (Over and Over Again)
             (F.Loesser-J.McHugh) ・・・・・ 4:16
  2. You Don't Know What Love Is
             (D.Raye-G.DePaul) ・・・・・ 5:12
  3. Too Young to Go Steady
             (H.Adamson-J.McHugh) ・・・・・ 4:21
  4. All or Nothing at All
             (J.Lawrence-A.Altman) ・・・・・ 3:35
  5. I Wish I Knew
             (H.Warren-M.Gordon) ・・・・・ 4:51
  6. What's New ?
             (B.Haggart-J.Burke) ・・・・・ 3:44
  7. It's Easy to Remember
             (L.Hart-R.Rodgers) ・・・・・ 2:45
  8. Nancy (With the Laughing Face)
             (J.V.Heusen-P.Silvers) ・・・・・ 3:11
  9. Up 'Gainst The Wall
             (John Coltrane) ・・・・・ 3:15





  John Coltrane (ts), McCoy Tyner (p),
  Jimmy Garrison (b: # 1-6, 8), Reggie Workman (b: # 7)
  Elvin Jones (ds)

  # 1 - 5 : 
  Recorded at RVG Studio, Englewood Cliffs, November 13, 1962.
  # 6, 8, 9 :
  Recorded at RVG Studio, Englewood Cliffs, September 18, 1962.
  # 7 :
  Recorded at RVG Studio, Englewood Cliffs,December 21, 1961.





 アナログ盤はすでになく、 10 年くらい前に CD を購入しました.
 オリジナル盤は 8 曲目までで、 9 曲目はボーナス・トラック.
 このアルバムを録音した頃は "Duke Ellington & John Coltrane ( 1962 年 9 月 26 日録音)" や "John Coltrane and Johnny Hartman ( 1963 年 3 月 7 日録音)" といった、スタンダードを中心とした比較的ルーキーでも聴きやすいアルバムが何枚かあります.



Coltrane029-6

 とにかく 1 曲目の "Say It (Over and Over Again)" の演奏が有名すぎますね.
 CM にも使われたので、普段ジャズに興味のなかった人たちもこの甘い演奏を聴いたことのある人は多いでしょう.
 あまりにもこの演奏がポピュラーな感じになってはしまいましたが、何度聴いてもこの演奏はステキです.


 ところが変にシリアスなジャズ・ファンを気取ってしまうと、 「こんな コルトレーン は違う ・・・・・」 なんて言い始めたりするわけですよ.
 
 コルトレーンだからいつもモーダルでフリーキーに突き進まなくちゃいけない訳ではないのですが、なにかストイックにわかったようなふりをしながら "My Favorite Things" に首を振ったりね.

 純粋にいいものをいいと言えない部分も少しあったりするわけ.
 今になってみると、本当にくだらないんですがね.

 でもまぁ、そういうシリアスなジャズを少しくらい追い求めるのも、それはそれでいい経験だったりもしますが、何事も極端すぎるのはよくない.



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 このアルバム、全曲がスタンダードなのです ・・・・・・・・・ ただし 9 曲目はボーナス・トラックなので除外.
 ちなみにこの 9 曲目の演奏は録音日こそ同じものの、、前の 8 曲とかなり違った演奏で雰囲気も全然違うので、どうしてこのアルバムに入れたのかボクはちょっと首をかしげてしまいます.


 スタンダードのバラード演奏なんかを聴くとミュージシャンの力量がわかるなどと言われております.
 そういえば コルトレーン のリーダー・デビュー・アルバム "Coltrane (Prestige 7105)" でも "Violets for Your Furs" のステキな演奏がありました.
 よく吹きすぎだとか言われちゃう コルトレーン ですが、こういったバラードなど吹くととても歌心あると思うんだな.
 そんな魅力がいっぱいのアルバムなのです.



 そして、 コルトレーン はもちろんですが マッコイ・タイナー のピアノがいいなぁ.
 マッコイ・タイナー はこのグループで結構アグレッシブな演奏行い、グループ脱退後もいろいろ新しい試みにチャレンジしていましたが、 "Nights of Ballads & Blues (Impulse)" でもわかるようにこういったスタンダードを歌心豊かに演奏するのがとても合っているようにも思えてしまいます.



 ちなみに ・・・・・・・ 昔から A 面の印象しかなかったので、今回久しぶりに B 面を聴いたという感じだったりします (笑)

 おまけにいろいろ昔のことを思い出させていただきました



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 リオ・オリンピック 大盛り上がりですね.
 開催前からいろいろ問題ばかりが話題になっており、正直ここまでの好成績を思ってもいませんでしたが ・・・・・・・・

 ボクも開催前はほとんど興味なかったような状態でしたが、いざ始まってみると連日のメダル報道.
 ついつい結果に一喜一憂したりしております.


 後半に入り陸上も始まり、まだまだ観戦の楽しみは続きそうです.
 特に ベスト 8 に入った女子バスケット頑張ってほしいなぁ、相手 アメリカ だから勝つのはかなり難しそうだけれど ジャイアント・キリング ・・・・・ ほんの少し期待してます.



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 Darya Klishina 

 今回の大会、運営的な問題とともに大きな注目を浴びたのが ロシア のドーピング問題でした.

 唯一出場が期待されていた女子走り幅跳びの Darya Klishina も結局出場できなくなりそうな気配.
 スポーツ仲裁裁判所 に異議を申し立てたようですがたぶんダメだろうな.

 クリーンに頑張っている選手たちがほとんどだから、やっぱりきちんとしたルール上での制裁は止む無しでしょう.



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 Svetlana Shkolina  

 オリンピックに限らずスポーツの映像観ていると、一生懸命頑張っている姿はやっぱり素敵だなぁと思います.
 そういうのが結果云々ではなく人を感動させるんだなぁなんて.
 自分の国はもちろんですが、国を越えて感動を与えてもらえるんだよね.


 ちなみに、キレイな人が一生懸命やっている姿は、もっともっとステキなのでした



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ジャズ屋、再び

 今日の東京は春を思わせる暖かさのなかを、春一番が吹き荒れていました.
 そのせいで、東北・上越新幹線の運転見合わせの煽りをくらって、他の新幹線のダイヤもメチャメチャ.
 おまけに家に帰ると、猛吹雪が待っていました.



 さて、初めて入ったジャズ屋 (ボクのなかでは、ジャズ屋という表現がしっくりきます) でしたが、次に入ったのは休日の真昼間でした.
 暇をもてあましていたので、何か外で食べようと思いその店の前を通りかかると、どうも営業しているような雰囲気だったので、ちょっとコーヒーでも飲んでみようかとな、という感じで入ったのが 2 回目のこと.
 入ると若い女性がカウンターの中にいて、初めて入ったときとはちょっと違う店の感じ.
 他のお客さんはいなかったけれど、ほとんど会話はありません.
 いきなり 「何かリクエストありますか?」 って聞かれ、 「????」 っていう感じで戸惑ったことは覚えています.
 ジャズ屋 2 回目で、リクエストがどういうことかも知らなかったから ・・・・・・・・ 笑

 それからは ・・・・・ ジャズなんてわからなかったし、特にその娘と話すわけでもないのに、暇なときフラリとお店に行くようになったのです.




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 そして覚えたのが、このアルバムです.
 デキシーランド・ジャズといわれる古典的な部類に入るジャズなんだけれど、これがいい!!
 ものすごくいい!!

 ちなみに、このバンドをモデルにしたと思われる、五木寛之の短編小説もありました (ただし、小説では商業主義的な匂いがプンプンしていて、この小説自体好きではありませんが) .
 とにかく "St James Infirmary" を聴いただけで涙が出てくるほどいいんだな.
 よぼよぼのおじいちゃんたちの奏でる音は、哀愁たっぷり ・・・・・・・・ でも、お涙頂戴的な嫌らしさがなくって.

 こういうのも、いい音楽ですぞ.

ジャズとの出会い

 これから数回にわたって、ボクのジャズの歴史を振り返ってみようと思います.
 それはもう、何十年も前のこと、平塚に出てきて数ヶ月後、尋ねてきた友人とたまたま飲みに入った店が、その後の僕の運命を変えちゃいました.




   6
 
 裏通りの、住宅街の片隅にあったそのお店、入り口はさらに少し奥にあって、初めての人は必ず躊躇してしまうような雰囲気が漂っていました.
 ドアを通してかすかに流れてくるジャズ ・・・・・・・ ところがドアを開けた瞬間、そのかすかな音が何十倍かの音の洪水となって襲ってきます.
 おまけに、中はほとんど真っ暗、昼間にでも入ろうものなら、しばらく入り口で目を慣らさないと、カウンターの人影さえも区別できないんだな.

 細長い店内はカウンターが 10 席弱、あとは空いているスペースにとってつけたようなボックス席.カウンターには数人座って、ほとんどが目を閉じてジャズを聴いているし、マスターと思しき人物は、眼光鋭く、アフロヘアに、顎ヒゲ.
 正直 「こりゃ、すごいところに入っちゃったなー」 って感じでした.

 真空管アンプから増幅されたフレーズが JBL のカスタム・メイド (その後 JBL4343 に更新) のスピーカーから叩きつけるように溢れてきます.
 とにかく圧倒されたの一言でした.
 でも、なぜか居心地がいいんだな、ジャズなんてまったくわからなかったけれど、この音に中にいても不快感がなかったような気がします.
 だからこそ、のめり込んでいったんでしょうね ・・・・・・・・・ もうひとつの原因は女性だったのですが (笑) .




hall01

 初めて入った夜にかかった一枚が、 "Concierto / Jim Hall" です.
 このアルバムはイージーリスニング的にも聴くことができるので、ジャズを深く聴かない人でも、割合と聴いているようです.

 ボクがモダン・ジャズに傾倒し始めた頃には、 「こんなのジャズじゃねー」 という感じでほとんど聴かなかったのですが、最近たまに聞いてみると、このジャズ屋の雰囲気や、その頃の常連お顔などが浮かんできて、ちょっとセンチメンタルになってしまいます.
 人間年を取ると涙もろくなるんだな.
● プロフィール ●

la_belle_epoque

 ジャズ・アルバムの紹介を中心に始めたブログでしたので、こんなタイトル付けていますが、最近では完全に写真やカメラの話題が中心になっています.

 最近になって 沼 という場所にハマっていることに気が付き、脱出のためもがき苦しんでいます。
 金銭感覚も社会通念上の常識とはどんどん離れていってるようですが・・・・・・

 いつもおいでいただく皆様に、感謝です。

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