・ ・ ・ ・ ・ ・
2 か月ほど前に、突然 小川隆夫 さんから DM が届きました.

● 2013. 3. 23 雨ことばカフェ (伊那市) にて ●
当時 小川さん は原稿執筆中で、 本田竹曠 のアルバム " Misty / 本田竹曠 + Mama T. " と " What's Going On / 本田竹曠 " のことでちょっとしたお願い事をされました.
ちょうど休みの日で写真の整理していた時だったので、すぐにお返事.
依頼内容は全然大したことではありませんでした.
今月に入ってまたまた DM が届き確認してみると、 「執筆していた本がようやく出版になり、ついては献本したい ・・・・・ 」 なんて書かれてるじゃないですか.
いやいやそんな大それたことしてませんから、と思いつつも顔はニヤケまくりで、しっかり送付先を連絡.
3 月 23 日にその本が手元に届きました.

" 来日ジャズメン全レコーディング 1931〜1979 " シンコーミュージック
そもそもあの程度のことで献本されるなんて、恐縮すぎます.
でもそういうちょっとしたことでも覚えているところが、 小川さん っぽいです.
こういう律義さが、多くの人たちとどんどん接点をつなげていけるんだなぁと、改めて思いました.
おまけに膨大な情報などもきちんと細かく整理されているんでしょう、執筆のスピードがメチャクチャ速いようで、最近は年間何冊も新書を出版されています.
ただただ驚くばかりです.
なにげなくあとがきを読んでいると、ななななんと ・・・・・
これには本当にビックリ.
ひと昔前だったら、間違いなくこの本を神棚に置いて両手を合わせたかも.

さて、この本ですがまずはその大きさ、というかボリュームが半端ないです.
"マイルス・デイヴィスの真実 " を最初に手にした時 「すごく厚いなぁ 」 と感じましたが、今回の本はそれを軽く超えています.
パラパラと目を通してみましたが、今まで目にしたことのないようなジャケットがかなり並び、ページはびっしり文字で埋められてます.
よくあるミュージシャンの写真など、全く入っていません.
こういう本を手にすると、必ず自分で持っているものを確認する癖がありますが、アナログ盤の頃持っていたものもあったりして、変に懐かしく感じそのページで手が止まってしまいます.
そんなアルバムのデータやエピソードを読んでいくと、もう一度ゆっくり聴いてみたいという、とても危険な欲望にもかられます.
レンズ沼 ならぬ コレクター沼 への誘いなのか (笑)

例えば、ペラペラとめくっていたページに、ふとこのジャケット写真がありました.
この 外山嘉雄 さんのアルバム、昔アナログ盤持ってましたがそんなことも今では完璧に忘れてました.
ちなみにこのアルバムは 小川さん も聴いたことがないようなので、今持っていたら差し上げたんだけどなぁ ・・・・ 残念.
どうしてこのアルバムが?
こんなアルバムもあるの?
・・・・・・ そんなことを気にしながら読み始めると、もう完璧にこの本の世界からの逃避は不可能になります.
日本のジャズが模倣からオリジナルの創造、そして昇華しようとしている時代を紐解いていく、まさに歴史書そのもの.
一度この紐を解き始めると、関係するミュージシャンが気になりますし、関連するアルバムのことも知りたい ・・・・・ 歴史の波に飲み込まれちゃいます.

この本は 1931 年に録音された " Burton Crane The Collection 2nd Edition " から始まり、 1979 年 12 月 5 日録音の " Concord Super Band ll " の紹介で終わります.
ページ数にして 735 ページ !!
ジャケット写真、収録曲目、作者名、録音日、録音スタジオ、関連アルバム、そしてそのアルバムに関するエピソードなどがびっしり書かれています.
そのデータ量は本当にすごいです、もう変態的 (いい意味で) といってもいいでしょうか.
関係者のインタビューも紹介されており、録音当時の日本ジャズシーンを垣間見ることができ、当時の熱気なようなものも伝わってきます.
これはもう、単なるデータベースではなくノンフィクション小説のように十分に楽しめる内容です.

では例として、ボクが今でも持っている数少ないアナログ盤の中から一枚、ちょっと調べてみましょう.
" George Lewis and His New Orleans All Stars in Tokyo "
このアルバムについては 124 ページに書かれています.
ボクの持っているアルバムは 1968 年 12 月 31 日に亡くなった彼の追悼盤として 1969 年にキングレコードから再発売されたもので、見開きジャケットの中には 油井正一 氏の追悼文が書かれています.
まずジャケット写真がありますが、ボクのものとは違いますね.
この CD も持っていますが CD のほうは書籍に掲載されているものですので、きっとこちらがオリジナルなんでしょう.
両方のジャケット写真ともに 阿部克自 さんの撮影ですが、ボクはモノクロの再販版のほうが好きです.
レコード番号もボクのものとは違っており、 ボクの再販は SL(J)−111〜2 .
このあたりは巻頭の解説でもオリジナルのものを表記してあると書かれています.
収録曲が順番に並べられ、作家名と演奏時間の記載もあります.
演奏時間については、アルバム記載の時間とかなり違っていますが、ライブアルバムなので曲目紹介の部分を入れたり入れなかったりで、かなり違ってしまうのでしょう.
もちろん演奏メンバーの記載があって、そしてライブの行われた期日と録音された場所が書かれています.

ここまででも十分お腹いっぱいなのですが、ここからが小川さんの真骨頂.
いろいろなエピソードや当時の証言などをまじえた解説が約 1 ページ書かれています.
まず ジョージ・ルイス が初来日当時、日本でのデキシーランドジャズに対する評価だったり.
東京でこのアルバムの公演が行われるようになった経緯.
そしてこの日の演奏の様子や、演奏についての解説.
これを読みながらアルバムを流してみると、今までとはちょっと違った世界が広がりますね.
さらに関連作品の紹介もあり、そこには再販された本アルバムについての記載もしっかりありました.
こんな感じで 443 枚のアルバムが紹介されています.
これだけの厚さの本になるのが納得.

小川さんとは十数年前にブログからなんとなく繋がり、その後 Inter FM "Jazz Conversation" や ONGAKU ゼミナールなどで、本当にいろいろなお話を聞かせていただいてます.
元々アルバムのライナーノーツをほとんど読まないボクなので、実はそれまで小川さんの名前も知らなかったという、とてもジャズ・マニアなんて言えないちっぽけな存在.
確か繋がり始めた十数年前は、 Blue Note の CD も 3・40 枚くらいしかもっていなかったと思いますが、今では Blue Note だけでも 300 タイトル超えました.
そしてなにより、小川さんや 塙耕記 さん、そして 藤井武 さんといった、それまでは雲の上の存在だった方たちともお話しできる機会に巡り合えたり ・・・・・
ジャズに限りませんが、やっぱりこういう影響力のある方との出会いって、ちょっと大袈裟かもしれませんがある意味で人生をも変えてしまうんだなぁなんて、本を眺めながら思ったりしています.
この本は頭からすべて読んでいかなくても、本に記載されている自分の持っているアルバムでも聴きながら軽く読むのもありだと思います.
アルバムの演奏が終わる頃には、本に集中して演奏が頭に入らなくなる可能性も大いにありますが ・・・・ (笑)
こんな本をパラパラめくりながら、古き良き昔に思いをはせるのもいいものです.
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2 か月ほど前に、突然 小川隆夫 さんから DM が届きました.

● 2013. 3. 23 雨ことばカフェ (伊那市) にて ●
当時 小川さん は原稿執筆中で、 本田竹曠 のアルバム " Misty / 本田竹曠 + Mama T. " と " What's Going On / 本田竹曠 " のことでちょっとしたお願い事をされました.
ちょうど休みの日で写真の整理していた時だったので、すぐにお返事.
依頼内容は全然大したことではありませんでした.
今月に入ってまたまた DM が届き確認してみると、 「執筆していた本がようやく出版になり、ついては献本したい ・・・・・ 」 なんて書かれてるじゃないですか.
いやいやそんな大それたことしてませんから、と思いつつも顔はニヤケまくりで、しっかり送付先を連絡.
3 月 23 日にその本が手元に届きました.

" 来日ジャズメン全レコーディング 1931〜1979 " シンコーミュージック
そもそもあの程度のことで献本されるなんて、恐縮すぎます.
でもそういうちょっとしたことでも覚えているところが、 小川さん っぽいです.
こういう律義さが、多くの人たちとどんどん接点をつなげていけるんだなぁと、改めて思いました.
おまけに膨大な情報などもきちんと細かく整理されているんでしょう、執筆のスピードがメチャクチャ速いようで、最近は年間何冊も新書を出版されています.
ただただ驚くばかりです.
なにげなくあとがきを読んでいると、ななななんと ・・・・・
これには本当にビックリ.
ひと昔前だったら、間違いなくこの本を神棚に置いて両手を合わせたかも.

さて、この本ですがまずはその大きさ、というかボリュームが半端ないです.
"マイルス・デイヴィスの真実 " を最初に手にした時 「すごく厚いなぁ 」 と感じましたが、今回の本はそれを軽く超えています.
パラパラと目を通してみましたが、今まで目にしたことのないようなジャケットがかなり並び、ページはびっしり文字で埋められてます.
よくあるミュージシャンの写真など、全く入っていません.
こういう本を手にすると、必ず自分で持っているものを確認する癖がありますが、アナログ盤の頃持っていたものもあったりして、変に懐かしく感じそのページで手が止まってしまいます.
そんなアルバムのデータやエピソードを読んでいくと、もう一度ゆっくり聴いてみたいという、とても危険な欲望にもかられます.
レンズ沼 ならぬ コレクター沼 への誘いなのか (笑)

例えば、ペラペラとめくっていたページに、ふとこのジャケット写真がありました.
この 外山嘉雄 さんのアルバム、昔アナログ盤持ってましたがそんなことも今では完璧に忘れてました.
ちなみにこのアルバムは 小川さん も聴いたことがないようなので、今持っていたら差し上げたんだけどなぁ ・・・・ 残念.
どうしてこのアルバムが?
こんなアルバムもあるの?
・・・・・・ そんなことを気にしながら読み始めると、もう完璧にこの本の世界からの逃避は不可能になります.
日本のジャズが模倣からオリジナルの創造、そして昇華しようとしている時代を紐解いていく、まさに歴史書そのもの.
一度この紐を解き始めると、関係するミュージシャンが気になりますし、関連するアルバムのことも知りたい ・・・・・ 歴史の波に飲み込まれちゃいます.

この本は 1931 年に録音された " Burton Crane The Collection 2nd Edition " から始まり、 1979 年 12 月 5 日録音の " Concord Super Band ll " の紹介で終わります.
ページ数にして 735 ページ !!
ジャケット写真、収録曲目、作者名、録音日、録音スタジオ、関連アルバム、そしてそのアルバムに関するエピソードなどがびっしり書かれています.
そのデータ量は本当にすごいです、もう変態的 (いい意味で) といってもいいでしょうか.
関係者のインタビューも紹介されており、録音当時の日本ジャズシーンを垣間見ることができ、当時の熱気なようなものも伝わってきます.
これはもう、単なるデータベースではなくノンフィクション小説のように十分に楽しめる内容です.

では例として、ボクが今でも持っている数少ないアナログ盤の中から一枚、ちょっと調べてみましょう.
" George Lewis and His New Orleans All Stars in Tokyo "
このアルバムについては 124 ページに書かれています.
ボクの持っているアルバムは 1968 年 12 月 31 日に亡くなった彼の追悼盤として 1969 年にキングレコードから再発売されたもので、見開きジャケットの中には 油井正一 氏の追悼文が書かれています.
まずジャケット写真がありますが、ボクのものとは違いますね.
この CD も持っていますが CD のほうは書籍に掲載されているものですので、きっとこちらがオリジナルなんでしょう.
両方のジャケット写真ともに 阿部克自 さんの撮影ですが、ボクはモノクロの再販版のほうが好きです.
レコード番号もボクのものとは違っており、 ボクの再販は SL(J)−111〜2 .
このあたりは巻頭の解説でもオリジナルのものを表記してあると書かれています.
収録曲が順番に並べられ、作家名と演奏時間の記載もあります.
演奏時間については、アルバム記載の時間とかなり違っていますが、ライブアルバムなので曲目紹介の部分を入れたり入れなかったりで、かなり違ってしまうのでしょう.
もちろん演奏メンバーの記載があって、そしてライブの行われた期日と録音された場所が書かれています.

ここまででも十分お腹いっぱいなのですが、ここからが小川さんの真骨頂.
いろいろなエピソードや当時の証言などをまじえた解説が約 1 ページ書かれています.
まず ジョージ・ルイス が初来日当時、日本でのデキシーランドジャズに対する評価だったり.
東京でこのアルバムの公演が行われるようになった経緯.
そしてこの日の演奏の様子や、演奏についての解説.
これを読みながらアルバムを流してみると、今までとはちょっと違った世界が広がりますね.
さらに関連作品の紹介もあり、そこには再販された本アルバムについての記載もしっかりありました.
こんな感じで 443 枚のアルバムが紹介されています.
これだけの厚さの本になるのが納得.

小川さんとは十数年前にブログからなんとなく繋がり、その後 Inter FM "Jazz Conversation" や ONGAKU ゼミナールなどで、本当にいろいろなお話を聞かせていただいてます.
元々アルバムのライナーノーツをほとんど読まないボクなので、実はそれまで小川さんの名前も知らなかったという、とてもジャズ・マニアなんて言えないちっぽけな存在.
確か繋がり始めた十数年前は、 Blue Note の CD も 3・40 枚くらいしかもっていなかったと思いますが、今では Blue Note だけでも 300 タイトル超えました.
そしてなにより、小川さんや 塙耕記 さん、そして 藤井武 さんといった、それまでは雲の上の存在だった方たちともお話しできる機会に巡り合えたり ・・・・・
ジャズに限りませんが、やっぱりこういう影響力のある方との出会いって、ちょっと大袈裟かもしれませんがある意味で人生をも変えてしまうんだなぁなんて、本を眺めながら思ったりしています.
この本は頭からすべて読んでいかなくても、本に記載されている自分の持っているアルバムでも聴きながら軽く読むのもありだと思います.
アルバムの演奏が終わる頃には、本に集中して演奏が頭に入らなくなる可能性も大いにありますが ・・・・ (笑)
こんな本をパラパラめくりながら、古き良き昔に思いをはせるのもいいものです.
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