最近、写真を撮りにいっていません.
 実は 1 月に今持っているカメラを部下に譲るので、できるだけ撮らないようにしているんです.
 新しいカメラになるまであと半月ほど.


 そして、ブログの記事にしたいジャズ・アルバムはたくさんあるんですが ・・・・・・・・
 最近は映画の話題が続いています.
 今日も映画のお話になってしまいます.




2016.4.29 102

 4 月に撮った写真ですが、今日の映画の場面にもこんな青空と雲が流れる場面が出ていました.
 
 先日書いた通り、お友達から借りた DVD があるうちにこの記事を仕上げてしまおうと思い.
 もう何回観たのかわからないくらい、観てみました ・・・・・・・・・



 どれほどの回数を重ねれば、その映画に近づくことができるんだろうか


 ・・・・・・・ って感じなのです.



 

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 いろいろなことを数字で表すのって、ちょっと好きです.
 本当はいろいろなことを数字で表すことなんてできないんだけれど ・・・・・・

 だから "恋する惑星" のセリフなんかにグッとくる.
 「その時、ふたりの距離は 0.1 ミリ 57 時間後僕は彼女に恋をした ・・・・」 なんて.



 だから最初はこのタイトルに惹かれました.
 そして観てみたら、いろいろなところに現れる数字に惹かれていました.

 「桜の花の落ちるスピード。秒速 5 センチメートル。」
 「時速 5 km なんだって。」
 「でも私たちはきっと 1000 回もメールをやりとをして、たぶん心は 1 センチくらいしか近づけませんでした。」



 これだけでも、もう胸キュンどころのレベルではないな.
 思春期の女子だったら即死と言ったところか ・・・・・・・ いやいや、病んでしまうかもしれない.






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  " 秒速 5 センチメートル "





  監督 : 新海誠
  脚本 : 新海誠
  原作 : 新海誠
  製作総指揮 :
        新海誠
  作画監督・キャラクターデザイン :
        西村貴世
  声の出演 :
        水橋研二 (遠野 貴樹)
        近藤好美 ( 1 話: 篠原 明里)
        尾上綾華 ( 3 話: 篠原 明里)
        花村怜美 (澄田 花苗)
        水野理紗 (水野理紗)
  美術 : 丹治匠 、 馬島亮子
  音楽 : 天門
  主題歌 : "One more time, One more chance" 山崎まさよし
  配給 : コミックス・ウェーブ  
  公開 : 2007 年 3 月 3 日
  上映時間 : 63 分







 もう 10 年も前の映画です.
 いまさらいいオヤジが ・・・・・・・・ って感じもしないでない.

 だからこの映画に関しては、もうネタバレ全然 OK だろうな.




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 三話で構成された映画ですので、ボクはてっきり一話完結のオムニバス形式だとばかり思い込んでいました.

 ボクが借りた DVD は CD やネガフィルムが入った 3 枚組ボックス.
 この記事書きながら本編を再生しては停止 ・・・・・・・・
 バックには CD かけながら、ドップリすぎるくらい映画の世界に浸っております.

 この映画での音楽が透明感のある感じでとてもいい.
 特に 2 曲目の "想い出は遠くの日々" はヤバイ.





 "第一話 桜花抄"


 舞台となるのは 1995 年 3 月.
 ようやく携帯電話が普及し始めた頃だろうか、当然中学生なんて持っていない時代.

 だから手紙というのがものすごく懐かしく思えます.




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 貴樹 の声や話し方が、"北の国から" の 純 ・・・・・・・ 吉岡秀隆 をどうしても連想してしまう.
 いつも下を向いている感じがするんだな.
 完全に 鬱 ぽいなぁ.

 電車の外のように、どよよーーーんとした暗さです.

 これでもか、これでもかと電車が停まる.
 もう勘弁して ・・・・・ 思わず 「電車、動けェ !!」 て叫びそうになっちゃう.




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 "君の名は。" でも感じたんだけれど、とにかく背景などの描写がすごく細かく描かれている.
 車内の描写も細かなキズや光を受ける壁の質感など、これでもかというくらい.
 その反面、この映画での登場人物たちの描写は、全身の描き方も含めかなりデフォルメされています.
 デフォルメされているからこそ、二人の顔がいろいろな顔にオーバーラップしてくるんだろうか.
 
 コミック版での描写はもっとしっかり描き込まれているのにね.


 ちなみに "君の名は。" は Blu-ray 購入後にもう少ししっかり観て、再度記事にしてみようかと思ってます.




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 渡せなかった手紙と渡さなかった手紙.


 本当に暗く、どんよりしていて、観ているほうのイライラも極限状態になりそう.
 それでも観終わった後のやるせなさみたいなのは、なぜかあまりない.

 もちろん爽やかさなど微塵もないんだけれど、変に暗い部分だけを引きずっていくような感じもないんだな.
 人生ってこんなもんだろうな ・・・・・・・・

 忘れかけてた甘酸っぱさだけが残っていく.





 "第二話 コスモナウト"


 1999 年が舞台で、携帯電話も持っている.
 送信ボタン押すだけで簡単に気持ちが伝えられるのに ・・・・・・・・




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 初めて観た時はここに登場する 貴樹 が第一話と同一人物だとは気づかないで観ていて、第三話でようやく気がついた (笑)

 だから再度観た時に、この冒頭の場面が 貴樹 と 明里 だと気がつく.
 貴樹 の視線の先が何かも ・・・・・・・ なるほど.


 だからこそ 花苗 がもう ・・・・・・・・・

 花苗 のやるせない切なさがここでも、これでもかとくるんだな.




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 花苗 ・・・・・・・ もうわかったから、勘弁してくれ.





 "第三話 秒速 5 センチメートル"


 2008 年かな ・・・・・ 1999 年に打ち上げられた衛星エリシュが太陽系から飛び出そうとしている ・・・・


 ここは主題歌が流れ、短いカットが続くところに凝縮される、そこが一番好きだな.
 一つ一つのカットがとても意味を持っている感じなのです.
 そして観る人によっていろいろ解釈できるんじゃないかって.




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 高校生の 明里 が郵便ポストを見るときに横にいる男の子は ・・・・・
 背中を向ける 貴樹 の横の女性は、メガネがあるからきっと ・・・・・

 そして踏切ですれ違うのは、きっと 明里 じゃないんじゃないか ・・・・・

 とても一度観たくらいじゃわからないくらい、たくさんの場面がたくさんの思い出になっている.


 そして ・・・・・・・ 物語の終わり.
 アッと思うような終わり.




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 学生時代の 明里 の手には トルーマン・カポーティ の "草の堅琴" があります.
 
 第一話の図書カード ・・・・・・・・
 通勤電車で 貴樹 は何を読んでいるんだろう
 東京に向かう 明里 は何を読んでいるんだろう
 雪のバス停で 明里 は何を読んでいるんだろう

 ボクはそんなところがすごく気になってしまう ・・・・・・・・・




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 そうしたら同じことを思う人がいて、同じように、とても詳しく調べてありました.
 ものすごく感謝、引用させていただきました.


 通勤電車で 貴樹 は ・・・・・・・ 司馬遼太郎 「空海の風景〈上〉」
 東京に向かう 明里 は ・・・・・・・ 夏目漱石 「こころ」 
 雪のバス停で 明里 は ・・・・・・・ 村上春樹 「納屋を焼く」

 他に サン・テグジュペリ 「夜間飛行」 や 藤原伊織 「ダックスフントのワープ」 など
     ("無印都市のこども" より引用)


 なるほど ・・・・・ 明里 の読んでいる本に、妙に納得.
 さすがに サリンジャー は出てこなかった ・・・・・・ 攻殻 だけで十分かな(笑)




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 結局 貴樹 はいつまでも 明里 のことを引きずっているだけで
 明里 は既に過去の思い出として新しい道を歩いているわけ.

 それはあの雪の夜にわかっていたんじゃないかと ・・・・・・・・



 メイキングの中で 新海監督 がカメラで風景を撮影している場面がたくさん出てきます.
 ボクが "君の名は。" を含め、この映画が好きなのは、切り取られている風景がボクの好きなアングルだからかもしれません.

 画面に出てくる風景や街の景色が、ボクの写真の切り取り方とすごく似ている気がします.
 だから現れる風景にとても安心感があるというのか ・・・・・・・ 




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 コミック版や小説では映画で語られなかった部分が描かれているようです.
 例えば映画の中で突然現れる 水野理紗 も、コミックの中ではかなりしっかり書かれているようです.

 でも ・・・・・・・



 敢えてそういうのを読んだりしないでこの映画だけを観て、この映画のいろいろな隙間を自分なりに解釈して埋めていくのもありかなと思う.

 だから何度観てもいろいろな思いに浸れる.


 そしてもう忘れてしまったあの頃の感傷にもどっぷり浸れるのです ・・・・・・・・