"Love for Sale" ・・・・・・・

 ミュージカル "The New Yorkers" のために C.Porter が作曲した曲.
 "いろいろな恋を売り物にしている" 売春婦のことを歌った歌で、当時は曲よりもその内容から趣味のよくない曲とみられていたようです.



 原曲のテンポはわかりませんが、ボクの持っているこの曲の演奏のほとんどがアップ・テンポな演奏でした.
 そんな中で、ちょっと淡々とした感じの演奏を ・・・・・ と言っても、このアルバムは 1 曲目の演奏だけでも有名すぎるくらい有名.



 モダン・ジャズの代表的アルバムと言っても過言ではありません.







1595







   " Somethin' Else / Cannonball Adderley " (BLP-1595)






   1. Autumn Leaves
         (J.Kosma) ・・・・・ 10:55
   2. Love For Sale
         (C.Porter) ・・・・・ 7:01
   3. Somethin' Else
         (M.Davis) ・・・・・ 8:11
   4. One For Daddy-O
         (N.Adderley) ・・・・・ 8:21
   5. Dancing In The Dark
         (A.Schwartz-H.Deitz) ・・・・・ 4:03
   6. Bangoon (Alison's Uncle)
         (H.Jones) ・・・・・ 5:05

    (#6 Bonus track not part of the original album)





  Miles Davis (tp), Cannonball Adderley (as), Hank Jones (p),
  Sam Jones (b), Art Blakey (ds)
  Recorded at RVG Studio, Hackensack, NJ, March 9, 1958.






1595-2

 このアルバムのことについては、改めてボクが紹介するなんかないくらい有名ですし、いろいろなエピソードがいろいろなところに書かれているので、ほんの少しだけこのアルバムのことを書いて、あとはどうしてこのアルバム ・・・・ 曲にたどり着いたかという辺りを中心に書いてみましょう.


 このアルバムは Blue Note を代表するアルバムであり、特に 1 曲目の "枯葉" は、この曲の代表的な演奏でもあります.
 麻薬に溺れていた マイルス・デイヴィス に暖かい手を差し伸べていたのが、 Blue Note の アルフレッド・ライオン であり、その恩義を忘れなかった マイルス が彼に恩返しのつもりで行ったレコーディングでした.
 ただ、この時には マイルス は Columbia との契約を結んでいたため、彼自身のリーダー名は使用できなかったため、 キャノンボール・アダレー をリーダーに祭り上げて吹き込まれました.
 リーダーこそ キャノンボール ですが、実質的なリーダーは完全な マイルス ・・・・・・ マイルスのアルバムと言っても決して過言ではないでしょうか.




cannonball-adderley

 "Love For Sale" の演奏は、 ハンク・ジョーンズ の流麗なソロから、ちょっとテンポアップして マイルス のテーマ部演奏、そして キャノンボール のソロへと.
 マイルス の淡々としたテーマ演奏とは対照的な、 キャノンボール の少し早目のソロのバランスが何とも言えませんね.
 ハンク・ジョーンズ も途中でほんの短いソロをとりますが、これはもう少し聴きたいかなと.






 さてここからが今日の本題です.

 ちょっと前に "Marvel's The Avengers" を観てブログを書きましたが、その時に出演者の一人 スカーレット・ヨハンソン を調べてみたら、 "ブラック・ダリア" に出演していたことが判明.

 それで昨夜、久しぶりに DVD で観直してみました.





black_dahlia






   " ブラック・ダリア (The Black Dahlia) "




   監督 : ブライアン・デ・パルマ
   脚本 : ジョシュ・フリードマン
   出演 : ジョシュ・ハートネット (バッキー・ブライカート)
        スカーレット・ヨハンソン (ケイ・レイク)
        アーロン・エッカート (リー・ブランチャード)
        ヒラリー・スワンク (マデリン・リンスコット)
        ミア・カーシュナー (エリザベス・ショート)
        マイク・スター (ラス・ミラード)
        フィオナ・ショウ (ラモーナ・リンスコット)
        レイチェル・マイナー (マーサ・リンスコット)
   音楽 : マーク・アイシャム
   撮影 : ヴィルモス・スィグモンド
   編集 : ビル・パンコウ
   配給 : ユニバーサル映画 、 東宝東和  
   日本公開 : 2006 年 10 月 14 日
   上映時間 : 121 分






 この映画の原作は、 1947 年 1 月 15 日にアメリカで発生した猟奇殺人事件を ジェイムズ・エルロイ が小説にして 1987 年に発表、彼の LA 四部作の第一作目の作品です.
 映画はこの小説をベースに作られています.

 映画については断片的に覚えている程度で、ほとんど忘れていました.
 だから アーロン・エッカート (最近では "世界侵略: ロサンゼルス決戦" 、 "ダークナイト" など) や、 ヒラリー・スワンク ( "ボーイズ・ドント・クライ" 、 "ミリオンダラー・ベイビー" など) が出ていたことさえ忘れており、映画を見始めて少しずつ思い出していきました (笑) .



Black Dahlia 003

 もちろん、 スカーレット・ヨハンソン のこともほとんど忘却の中. 
 この映画自体はそこそこ評価はよかったようですが、興行的には今一つ、おまけに スカーレット・ヨハンソン に至ってはかなりネガティブな批評が多かったようですね.



 映画の舞台は戦後間もない LA ハリウッド ・・・・・・ 上流社会の退廃的な雰囲気や、その反対のアンダーグラウンドな部分なども結構よく描かれていると思います.

 殺人事件捜査の途中にでてくるのが レズビアン・バー ・・・・・・ 同性愛 もこの映画の中では一つのキーワードでした.
 そしてそこに流れるのが "Love For Sale" です.
 これは物語にも売春婦が関わってくるので、敢えてこの曲を選んだのではないでしょうか (推測) .



  
 で、それを歌っていたのが ・・・・・・・・・・・・・・・・・・




K_D_-Lang-in-Austin-Texas-001

 そう、 k.d.Lang なのです ・・・・・・・ ちょっと 「ええっ ・・・ 」 って感じでした.

 だって彼女は、同性愛であることをカミングアウトした人です.
 まんま物語の世界と同じ過ぎちゃって、逆にちょっと笑えない感じでした.

 彼女はカミングアウトしたにも関わらず、人気は衰えることなく、多くの人たちに好意的に受け入れられています ・・・・・ だからこそ、 2010 年 2 月の バンクーバーオリンピック 開会式でも歌っていますよね.
 この時の レナード・コーエン の "ハレルヤ" はよかったなぁ.





 ということで、"Marvel's The Avengers" から スカーレット・ヨハンソン 経由で "ブラック・ダリア" へいき、そこから同性愛と k.d.Lang を経由して "Love For Sale" 、さらにこの曲から "Somethin' Else" へと ・・・・・・


 まるで物語の捜査のように、いろいろ広がっていった今日の話題でした.